氷見沖で近世より続く台網漁の網取り船として活躍したのが大型の木造船ドブネです。ドブネは、丸太から刳り出した「オモキ」を船体に組み込む「オモキ造り」の構造を持ちます。「オモキ造り」は、日本海沿岸に色濃く分布する造船技術で、男鹿半島から山陰までの地域で見られます。
そうした「オモキ造り」の木造船の中でも、氷見のドブネは漁船としては最大級の大きさを誇ります。ところが、船足が遅く船価が高いドブネは、「オモキ」に用いる材の不足なども原因として昭和30年代末には役目を終え、現在その姿を見ることはできません。
平成28年度から29年度にかけて、氷見市内の船大工の手によって2分の1スケールでドブネが復元されました。氷見市立博物館では、その建造工程について映像・写真による詳細な記録を行いました。それは、すでに失われた氷見型ドブネに関する貴重な記録となりました。
本特別展では、氷見のドブネについて残された写真資料を展示すると共に、復元されたドブネの建造工程について紹介しました。その他、近隣の「オモキ造り」の木造船とその分布を通じて、日本海沿岸の造船技術の系譜をたどりました。
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