氷見市南部に位置する
十二町潟は、かつて
布勢水海と呼ばれ、奈良時代には越中国守大伴家持が舟を浮かべて遊覧したことで知られています。家持が詠んだ布勢水海に遊覧する賦の返歌として、越中
尉を務めた大伴池主が詠んだ長歌に「うらぐはし布勢水海に」の一節があります。「うらぐはし」とは「心細し」と書き、心に染み入り、えもいわれず美しい様を表します。布勢水海の風景は、都人をはじめ多くの人びとの心をとらえたのです。
ただ、布勢水海はたんに風光明媚なだけの存在だったわけではありません。潟周辺に暮らす人びとは長年重湿田での米作りを営み、水害にも悩まされてきました。水郷地帯ならではの生活の知恵やその苦労の歴史は、この地域で使用されてきた民具にも表れています。
当館では、平成17年に布勢水海をテーマに特別展「水辺の人びと ―布勢水海の歴史をさぐる―」を開催しました。それから18年が経過する中で、
上久津呂中屋遺跡や
中谷内遺跡といった潟縁に位置する能越自動車道関連遺跡の発掘調査によって、多くの遺物が出土し、縄文時代や奈良・平安時代に関して新たな知見が得られました。また、潟舟タズルや泥を掻き揚げるジョリンといった潟周りの特徴的な民具についても、新たな資料を多数収集しています。
そこで、令和5年度の特別展では、あらためて布勢水海をテーマにすえました、いわば通史編だった「水辺の人びと」に対して、本特別展では考古学的、民俗学的な話題を中心に、布勢水海とその折々の人びとの暮らしとの関わりについて紹介します。

園カンデ窯跡の須恵器
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タズルで稲束を運ぶ様子(昭和30年代)

昭和50年代の十二町潟
会 場 |
氷見市立博物館特別展示室 |
会 期 |
令和5年10月20日(金)から11月12日(日)まで |
休館日 |
10月23日(月)・10月30日(月)・11月6日(月)
11月3日(金)文化の日は臨時開館 |
時 間 |
午前9時から午後5時まで |
観覧料 |
無料。ただし、解説図録を実費販売します。 |
行 事 |
【資料解説会】
日時 : 令和5年10月21日(土) 午後2時より
会場 : 氷見市立博物館特別展示室
※事前のお申し込みは不要です。ご自由にご参加ください。
【図書コーナー】
図書館との連携事業のひとつとして、会期中特別展テーマに関す
る図書コーナーを閲覧室に開設します。 |
伝統的な菓子は嗜好品でありながら、日本の季節や年中行事と深く結びついたり、地域や、人々のつながりの中でその場に応じて添えられたりしてきたことで、その存在が地域文化の継承に重要な役割を果たしています。
氷見には「田やすみ」や「祭り」などのいわゆる「ハレの日」に各家が「笹餅」や「小麦団子」などをつくったり、チョーハイ戻りの土産や男女の節句、煎り菓子盆など季節ごとに婚家へのつけ届として、嫁の実家が餅類や饅頭、菓子を準備したりする風習がありました。
また、一方で江戸時代には加賀藩領であった氷見市では、冠婚葬祭や祭礼の折に用いられる練切や落雁でつくられる式菓子などに、加賀藩の菓子文化から影響が見られることが指摘されています。
こうした季節や年中行事ごとに菓子をつくる文化は、行事や風習自体が廃れていくことで数を減らし、現在では行われなくなっているものもあります。同様に、式菓子をつくる菓子屋も、生活習慣の変化や、洋菓子の需要増、大手チェーンの市場参入などの影響で数が減少し、冠婚葬祭や祭礼の際に伝統的な式菓子を用いる機会自体も少なくなっています。
今回の特別展では、かつて市内で営業していた角屋、中勢松月堂、森甘泉堂の三店のから寄贈をされた菓子木型や菓子用の調理道具など菓子職人の道具を中心に展示を行います。その展示を通して、年中行事や風習と深く結びついていた菓子文化と、加賀藩の影響を受けた菓子文化という2つの観点から氷見の菓子文化を紹介します。

銅鍋

菓子木型
会 場 |
氷見市立博物館特別展示室 |
会 期 |
令和6年2月23日(金)から3月17日(日)まで |
休館日 |
2月26日(月)・3月4日(月)・3月11日(月)
2月23日(金)天皇誕生日は臨時開館 |
時 間 |
午前9時から午後5時まで |
観覧料 |
無料。ただし、解説図録を実費販売します。 |
行 事 |
【資料解説会】
日時 : 令和6年2月24日(土) 午後2時より
会場 : 氷見市立博物館特別展示室
※事前のお申し込みは不要です。ご自由にご参加ください。
【図書コーナー】
図書館との連携事業のひとつとして、会期中特別展テーマに関する図書コーナーを閲覧室に開設します。
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