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薮田石」は、氷見灘浦海岸に産出する砂岩系の白い岩石で、きめ細やかな岩肌で独特の雰囲気を持っています。さらに、加工しやすい石材であるため、中世には数多くの石造物が製作されました。 これらの石造物は、長い時を経て徐々に散逸したと思われますが、現在でもお堂や墓地の片隅などに多数残されており、市民にとって身近な文化財のひとつといえるでしょう。
薮田石の石造物は、五輪塔[]や板石塔婆[]・宝篋印塔[]などの塔婆類、如来・菩薩などの仏像類のほか、随身[]、狛犬[]、燈籠[]など、多岐にわたる造形です。 また、その分布は氷見地域のみならず、砺波・五箇山・婦中・黒部・立山でも確認されており、重量のある石造物が遠くにまで運ばれたことが判明しています。
この特別展では、これら藪田石の石造物の実物資料や写真、関連する資料で構成し、その造形や流通を通して、中世氷見地域の歴史の一端について紹介を行いました。
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