博物館では、昭和57年8月の開館以来「氷見の民俗シリーズ」と銘打って、この地域の庶民の暮らしを紹介する企画展を継続して行ってきました。
近年は「氷見の漁業と漁村のくらし」(99年)、「氷見の漁業と漁村のくらしU」(01年)、「写真にみる氷見の昔と今」(03年)、「昭和30年代と暮らし」(07年)、「明治から昭和へ−近代化のあゆみと庶民の暮らし−」(08年)各展を開催し、古い写真を読み解くほか、衣食住の民具など日頃ごく身近にあるモノに込められた「生活技術」の再評価を行ってきました。
20年度は、庶民の暮らしにとってとりわけ大切な位置を占める「食」にスポットを当てました。通年24時間営業のスーパーマーケットやコンビニなどがなかった時代、また冷凍技術が一般的ではなく、道路や流通手段が現在ほど整えられていなかったほんの少し前の時代には、季節を問わず遠距離を運ばれてくる多種多様な食品などは夢物語でした。
そのため、私たちの先人たちはこの地域で収穫される米や雑穀、野菜や果物、魚介類などを季節ごとに楽しむほか、長く保存するため様々な加工技術をもっていました。いわば、「地産地消」の暮らしを長く続けてきたわけです。
本展覧会では、こうした「食」の道具や写真などから、少し前の時代の「食」に関わる生活の知恵を紹介しました。
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