18年度の特別展「昭和30年代と暮らし」に続き、本年度は時代をややさかのぼり、昭和10年代を中心に明治から昭和20年代頃の庶民の生活の有様を取りあげました。
明治27・28 年の日清戦争、同37・38年の日露戦争を経て、日本の経済力は飛躍的に増大しました。 しかし、日本の急激な国力の高まりは、周辺諸国や欧米列国との間に新たな緊張関係をつくり出す結果となります。昭和6年の満州事変に続き、昭和12年に中国大陸で日中戦争が全面化すると、軍事費は激増し、軍需生産を国策として最優先する経済統制が強まりました。翌13年に「国家総動員法」が制定されると、物資動員計画に基づく軍需優先と民需抑制の結果、市民生活のあらゆる分野に深刻な影響をもたらしました。
さらに、同16年12月のアジア太平洋戦争の開始にともない、こうした軍需の確保と民需の制限はより強化され、特に昭和10年代から終戦後の20年代にかけて、食糧や衣料、日用品をはじめ生活必需品の入手は困難となり、市民はより苦しい生活を送りました。
本展覧会では、明治から昭和への日本の近代化のあゆみを、庶民の暮らしという視点からとらえ、氷見地域の資料を中心に展示・紹介しました。
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