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博物館では、昭和57年8月の開館以来「氷見の民俗シリーズ」と銘打って、この地域の庶民の暮らしを紹介する企画展を継続して行ってきました。
近年は「写真にみる氷見の昔と今」(03年3月)、「昭和30年代と暮らし」(07年3月)、「明治から昭和へ」(08年3月)を開催し、古い写真を読み解くほか、衣食住に関する民具など、日頃ごく身近にあるモノに込められた「生活技術」の再評価を行ってきました。
21年度は、21年3月開催の特別展「食の風景」を受け、「食」とともに庶民の暮らしに大きな位置を占めてきた「衣」にスポットを当てました。
大量生産大量消費の掛け声のもと、身の回りに「衣・食・住」に関するモノが溢れ、日々あらゆるモノがゴミとして廃棄される今日の社会の出現は、そんなに遠い昔のことではありません。
第2次大戦後の極端なモノ不足のなかで、私達の少し上の世代の人たちは、身近にあるモノを上手く使い回ししながら日々の暮らしを立ててきました。サッキョリやサシコを挙げるまでもなく、破れたモノは繕いをして、こわれたモノは修理し、あるいはつくり替えるなど、人の手を加えることによってモノを甦らせることはごく当り前のことでした。
ひとりひとりの身体にぴったりと合わせて立体的に裁断と縫製とが行われる洋服に比べ、着物は袖など一部を除いて直線直角裁ちを基本とし、直線と直角の布地を縫い合わせて仕立てられるため着る人を選ばず、多少体型が異なっていても着回しは比較的容易でした。
着物は手入れさえしてやれば繰り回しや作り替えのほか、布の状態に戻して染め直しが割合容易にできるため、結果として長期間着用することが可能でした。少し前まで、古くなったり多少傷んだりしても少なくとも着物などはそのまま捨てたりせずに、布地に戻して使い回しや作り替えはごく当り前に行われました。
本展覧会では、こうした「衣」に関する実物資料を中心に、少し前の時代の「衣」に関わる生活の知恵を紹介しました。
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特別展「衣の記憶」展示風景
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展示構成
(1)仕事着と普段着 ・網取りと陸仕事の仕事着 (サッキョリ・サシコ・カッパボウシ・カッパズボン) ・田と畑の仕事着
(ミジカギモン・ヤマギ・モジリ・ハタノオビ)
・普段着(ナガギモン・タンゼン・ドウゲン・ハンチャ)
・子供の普段着(四つ身ヒトエ・四つ身ワタイレ・マント)
(2)晴 着 ・打掛(道中上着・本上着) ・嫁のれん(三巾・四巾・五巾)
・子供の晴着
(一つ身フリソデ・一つ身ヒフ・三つ身モンツキ)
・余所行き着(インバネス・ボルサリーノ・ネンネコタンゼン)
(3)「衣」の周辺
・夜着と蒲団
(定紋入り木綿地夜着・銘仙地夜着・藍木綿地蒲団側)
・洗濯用具
(タライ・洗い板・張板・洗濯カゴ・ガンガンバケツ)
・裁縫道具(裁縫箱・クケ台・炭火アイロン)
・藁製品(バンドリ・ドウマル・ワラグツ・ワラジ・ゾウリ)
・大風呂敷・こたつ下掛け・オシメ(おむつ)・包み
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会 場 |
氷見市立博物館特別展示室 |
会 期 |
平成22年3月5日(金)から4月4日(日)まで |
休館日 |
月曜日。ただし、3/21(春分の日)は、開館。 |
時 間 |
午前9時から午後5時まで |
観覧料 |
無料 |
行 事 |
【資料解説会】
3月6日(土) 午後2時〜3時
会場:氷見市立博物館特別展示室
【図書コーナー】
図書館との連携事業のひとつとして、会期中特別展テーマに関する
図書コーナーを閲覧室に開設。 |
図 録 |
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『特別展 「衣の記憶」−晴着と普段着−』
H22年3月発行、A4判、66p、500円。
(本文:モノクロ34p、カラー図版32p)
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