写真は、当時の風景を切り取った貴重な歴史的資料です。一説に、日本に写真技術が伝わったのは嘉永元年(1848年)とされており、その後、薩摩藩主島津斉彬により国産の銀板写真機材の開発がすすめられました。安政四年(1857年)には、完成した国産銀板写真機材をつかって、現在残る最古の写真とされる、島津斉彬の人物写真が撮影されています。以降、モノクロ写真の時代が長く続き、被写体の色彩まで再現するカラー写真が一般化されるのには、1960年〜1970年代頃まで待たなければなりませんでした。今では、技術はさらに進歩し、誰でもスマートフォンや携帯電話で、手軽に高画質の写真や動画の撮影が可能な世の中になっています。高画質なカラー写真が氾濫する世の中になったことで、ほんの数十年前には当たり前だったモノクロ写真に、アートのようなデザイン性を感じたり、まるで自分たちとつながりのない遠い歴史上の風景であるかのように感じたりする方も多くなっているように思います。
当館は、歴史資料として多数のモノクロ写真を保管しており、写真に写された当時の生活用具や仕事道具も多く収蔵しています。
本特別展では、過去に撮影された氷見の生活風景を、より身近なものとして感じてもらうことを目的として、モノクロ写真を当館の収蔵品なども参考にカラー写真化し、写真に写された衣食住のほか、生業に関する民具などとともに紹介しました。
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