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 明治40年の秋、氷見市大境沖の漁場に初めて新型の「日高式大敷網[ひだかしきおおしきあみ]」が敷設され、ブリとフクラギの驚異的な大漁に見舞われました。「大敷網」導入後も、ブリやフクラギを捕る秋網([ぶり]網)のほか、マグロを捕る夏網([まぐろ]網)、マイワシやスルメイカを対象とする春網([いわし]網)など季節ごとに網は入れ替えて操業されていました。また、こうした網には綿糸でつくられた糸網と、藁縄を編んでつくられた藁網[わらあみ]とが長く使われました。

 一方、昭和30年代に始まった高度経済成長期には、それまで用いられてきた綿糸網や藁網に代わって化繊網が導入され、孟宗竹[もうそうちく]やビン玉製の浮子[うき]は樹脂製浮子に代わるなど、網資材の転換は漁法と漁撈のスタイルを大きく変えるとともに、また浦方の暮らしそのものにも大変換をもたらしました。

 特に、昭和40年代以降氷見浦・灘浦とも、漁撈具はもちろん従来各家庭で使われていた衣・食・住をはじめあらゆる分野の生活用具が廃棄され、あるいは一方それに代わって大量生産と大量消費に支えられた工業生産品が家庭から溢れる結果となりました。

 本企画展は、平成11年3月に開催した特別展「氷見の漁業と漁村のくらし」のテーマを継承し、その第2回展として昭和40年代頃まで実際に漁家で使われていた漁撈具をはじめ、漁村の暮らしに欠くことができなかった生活用具を展示・紹介し、長い時間のなかで培われてきた漁村の「生活技術」に再度焦点をあてました。

 また、前回に続いて多くの市民の方々から提供いただいた、より古い時代の氷見浦や灘浦の風景や暮らしのほか、昭和30年代頃までの沖仕事や陸仕事の様子を撮影した写真に詳細な検討を加えたうえ、これまで集積してきた聞取り調査の成果を併せて盛り込み、往時の漁村の暮らしの復元を試みました。











展示資料

[再び、写真を読む]
写真 238点

[衣食住の民具]
1.衣  サッキョリとサシコなど10点
2.食  丸弁当とチャンバチなど20点
3.住  ツルベ(釣瓶)など24点

[生業の民具]
1.大敷網などの沖仕事の民具  ロ(櫓)とカイ(櫂)など34点
2.浮子物と土俵や網  ビン玉や土俵など12点
3.陸仕事の民具  砂利ソウケと砂利鍬など20点
4.沖仕事の照明用具  カーバイドランプと石油ランプなど6点
5.網繕いの民具  網針と目板など38点
6.加工仕事の民具  オオザルや〆粕樽など22点
7.小商売の民具  道具箱やタコツボなど61点

「氷見の漁業と漁村のくらしU」展示風景

会 場 氷見市立博物館特別展示室
会 期 平成13年3月2日(金)から3月25日(日)まで
観覧料 無料。ただし、解説図録を実費販売。
図 録 『特別展 氷見の漁業と漁村のくらしU』

 H13年3月発行、A4判、98p、400円。
 (全てモノクロ)


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