当館では、「氷見の漁業」を展示テーマの一つとし、定置網漁用具をはじめ、市の内外の漁撈用具の収集・調査を実施しています。また平成15年に鞍川D遺跡で平安時代末頃の丸木舟が出土して以来、現存する木造船や船大工用具を収集・調査・研究し、廃絶が危惧される和船の建造技術の伝承に努めてきました。
平成27年3月には、そうした調査・研究によって収集してきた漁撈用具2,853点が、「氷見及び周辺地域の漁撈用具」として国の登録有形民俗文化財となりました。そこで登録を記念して、漁撈を支えた「船」と「船大工」をテーマとした特別展を開催しました。
氷見の定置網漁をはじめとする漁撈が営まれた海はもとより、川や潟、さらには湿田地帯でも船(舟)は人びとのくらしに欠かせないものであり、そこには船(舟)の建造を専門に担ってきた船大工とその造船技術の存在がありました。
しかし現在では、FRP(繊維強化プラスチック)など新素材の普及により、縄文時代の丸木舟以来さまざまに変遷しながら伝承されてきた日本固有の造船技術が失われつつあります。
本特別展では、これまでの当館の調査成果を活かし、富山県内の海・川・潟・田の船(舟)とその歴史を概観するほか、豊富な写真や図面、実物資料の展示を通して船が支えた漁撈をはじめとする人びとのくらしとの関わりを紹介しました。
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 特別展「とやまの船と船大工」展示風景
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