常設展示室の「氷見の民家」では、季節ごとにしつらいを変えています。
 春には、春祭りのしつらいになっています。

 氷見市域の南部に位置する十二町[じゅうにちょう]や西条、南条、十三[じゅうさん]地区の各村では、親類縁者や親しい人たちを招いて盛大に春祭りが催されます。

 4月中の休祝日や、その前日に合わせて行われる春祭りの日には獅子舞が披露されることが多く、客呼びをする家々では幾日も前からゴッツォ(ご馳走)の準備に取り掛かります。
デイ(前座敷)に並べられた膳や椀
 デイとよばれる前座敷には黒塗りの四脚膳[しきゃくぜん]宗和膳[そうわぜん]」が並べられ、膳上には蓋付き黒塗り[わん]にオコワ(赤飯)や豆腐汁のほか、お平椀には丸揚げや野菜の煮染[にし]めなどが盛られます。

 黒の輪島塗りの椀で供される精進物[しょうじんもの]以外に、ちょうどこの頃旬を迎えるマイカ(スルメイカ)の刺身やハチメ(メバル)のオザシ(お頭付き)、マイワシのヌタ(酢物)などが皿や鉢に盛って出されます。

 さらに膳外には、ワラビやゼンマイ、フキの煮たが(煮物)や、豆腐の白和[しらあ]え、打豆[うちまめ]を入れたクサギの煮たがなど、盛り沢山のゴッツォが大きなチャンバチ(平鉢)や重に入れて振舞われます。

藁火[わらび]が焚かれた座敷前の庭先で演じられる獅子舞にハナ(祝儀)を打ち、酒とともに充分なもてなしを受けた客人たちは、食べ切れなかったゴッツオをワラズト(藁苞[わらづと])に入れてもらい、各人の家への土産[みやげ]にします。

 祭りの宴からオヤジ(当主)が持ち帰るワラズトに包まれたゴッツオを、家の子供たちは首を長くして待っていたものです。

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