鳥獣被害を防ぐために私たちにできること No.2

更新日:2020年03月27日

藪や茂み近くの防護柵は要注意!

イノシシを警戒させる

 前回、農地周りの藪や茂みを少しでも広く刈払うだけで、イノシシの居心地を悪くできると書きましたが、イノシシに警戒心を持たせるためには、ゴルフ場の芝のような短い草丈を維持する必要はありません。イノシシの背丈は50〜60センチメートルなので、彼らの体が全部隠れないようにする草丈、30〜40センチメートル(大人の人の膝下くらい)以下の高さであれば、イノシシを警戒させる効果を発揮できます。

薮や茂みは高級リゾートホテル?!

 藪や茂みは、イノシシに安心感を与えるだけでなく、快適な暮らしも与えているようです。特に夏場、汗をかけないイノシシは暑さが苦手ですが、草が生い茂る藪の中は日陰で涼しく快適に過ごせます。さらに雨が降れば、水捌けの良くない休耕田の藪では、イノシシが大好きな泥浴びをできる水溜りがたくさんできてしまいます。また、イノシシが好きな食べ物にイノコヅチやカラムシといった草の葉、クズやワラビ、ススキの根といったものがあります。このような植物の多くが、山の中よりも林縁部に多く生え、特に耕作放棄地が藪化すると生えやすい種類です。つまりイノシシにとって耕作放棄地の茂みは、さながらクーラー付きの部屋と心地よい温泉、食べ放題バイキングがセットになった高級リゾートホテルのようなものなのです。

農地周辺の茂みをなくす

 最高級の生活を始めたイノシシは、徐々に農地へ侵入し始めます。そうなると私たちは、田畑を守るために防護柵を設置します。この時、できるだけ耕作面積が減らないようにと、時には周囲の藪や耕作放棄地との境に柵を設置することもあるのではないでしょうか?実は、このような場所に柵を設置することは、イノシシに柵を突破する機会を多く与えることになります。本来、防護柵はイノシシにとって怪しく、警戒心を抱かせるものです。しかし、藪に隣接して設置された柵に対して、イノシシは体を隠しながら接近でき、安心してじっくりと観察することができます。安心安全な環境のイノシシは大胆な行動をとるようになり、柵の隙間や弱い部分をすぐに見つけ出し、そこを狙って柵の中へ侵入するようになります。もし柵の外側すぐに茂みがなければ、イノシシは体が丸見えの状態でビクビクしながら恐る恐る柵を観察しなければなりません。このような状態であれば、イノシシも大胆な行動をとりづらく、適切に設置された防護柵であれば壊されることはあまりありません。実際、イノシシに柵を突破される原因のほとんどが、正しく柵が設置されていないか、柵の外側が藪になっているかの2つです。

 イノシシに田畑の周りで快適に過ごさせないためにも、そして防護柵の効果を持続させるためにも、農地周辺の茂みや藪はできるだけ少なくしましょう。

耕作放棄地脇に設置されたトタン柵を壊して侵入した痕跡のある写真

【耕作放棄地からトタン柵を壊して侵入】

「柵と薮が近い」場合と「柵と薮が遠い」場合のイノシシの動きを表した説明図

【防護柵の周囲は見通し良く!】

西日本農業研究センター 畜産・鳥獣害研究領域 研究員 堂山 宗一朗

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