鳥獣被害を防ぐために私たちにできることVol.12

更新日:2020年03月27日

正しい対策がイノシシ被害を止める!

 昨年の4月から始まったこの連載も今回が最後です。「去年もイノシシにやられた」「被害が止まらない」といった方もまだまだ多くいるでしょう。しかし、「イノシシの被害を止めた」「対策はそんなに難しくない」という方がたくさんいるのも事実です。正しい対策、効果的な対策をすればイノシシの被害を必ず止めることができます。正しい対策のおさらいをしていきましょう。

イノシシに嫌われる農地にする

 まず、自分の畑や田んぼの周りが、イノシシの住みやすい環境になっていないかチェックしてみてください。

 イノシシは体を隠すことのできる藪などを好みます。農地の周りに藪が多いほど、イノシシはそこで暮らしやすくなり、農地に出没しやすくもなります。隠れ場所を少し減らすだけでも、イノシシが田畑へ出没することを減らせます。

 イノシシは美味しいものをたくさん食べられる場所を好みます。農地の周りの誰も収穫しない柿や、稲の収穫後に米が実った二番穂がたくさんあることは、イノシシに農地に来ると食べ物がたくさんあるということを教えていることになります。イノシシに嫌われるためには、私たちが気に留めない様なイノシシのエサになるものを減らすことも大事です。

 この項目の詳細は2016年4月、5月、10月、11月号を見てください。

防護柵は効果的に設置する

 防護柵は、ただ設置すれば被害を止められるというわけではなく、イノシシの行動の特性に合った設置をしなければなりません。例えば電気柵であれば、電線を20センチメートル間隔で張らなければ効果が出ません。電気を流していないのに設置しっぱなしにしていれば、イノシシに電気柵の突破方法を覚えさせてしまいます。ワイヤーメッシュ柵は地面としっかり固定して、隙間を作らない様にしなければ、イノシシに潜り込まれてしまいます。

 また、どんな柵でも管理を怠ると、ただの置物同然になります。出来るだけこまめに管理や補修をすることで、侵入防止効果が長続きします。

 この項目の詳細は2016年7月、8月、9月号を見てください。

被害を減らすための捕獲をする

 先月号の繰り返しになりますが、被害を減らす捕獲は量よりも質が大事です。イノシシをたくさん捕獲したからといって被害が減るわけではありません。農地の周辺に住み着き、被害を出す悪いイノシシを捕獲しないと意味がありません。そのためには、柵で農地を守り、農地周辺のエサを減らすことも必要不可欠になります。そして、確実に言えることは、捕獲ばかりの対策を行って被害を減らした地域は全国にありません。

 この項目の詳細は2017年2月号を見てください。

みんなで勉強する

 最後になりますが、これまで紹介した正しい対策を多くの人が認識している地域では、被害対策は上手くいっています。一人でやるにしても集落みんなでやるにしても、正しいやり方で取り組まなければイノシシは被害を出し続けます。情報源の一つとして、この連載を参考にしていたければ幸いです。

森の際にいる1頭のイノシシの写真

【正しく知ればイノシシも怖くない】

侵入防止柵を設置した斜面にある柿園の写真

【正しい対策を勉強した農家さんの柿園。5年以上被害はゼロ。】

西日本農業研究センター 堂山 宗一郎

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