鳥獣被害を防ぐために私たちにできること Vol.1

更新日:2021年11月17日

藪や茂みは、イノシシの楽園!

 氷見市の皆様、はじめまして。これから1年間、イノシシ被害対策について書かせていただきます。よろしくお願いします。

 ここ数年、イノシシの被害を止めた集落や個人の方が、全国で少しずつ増えてきました。そのような人たちが何をしたかというと、まず初めにイノシシのことを正しく知ってから、きちんと効果のある対策をとりました。しかし、まだまだ勉強せずにテキトーに対策をして、被害を受け続けている人も多くいます。氷見市の方々がそうならないためにも、イノシシのこと、正しい対策の方法を勉強していきましょう。

イノシシの印象として、怖いとか強そうと思っている方も多いはずです。しかし、実際のイノシシは、私たちが思っている以上に臆病で、とてつもなく警戒心が強い動物なので、人間のことをすごく怖がります。そんな性格のイノシシが、なぜ人間が活動する畑や田んぼに出るようになったのでしょうか? 1番の原因は、イノシシが安全と感じる・落ち着ける場所が、農地周辺に増えてしまったことです。

 では、イノシシが安全で落ち着ける場所はどこでしょうか?それは簡単、「体を隠せる場所」です。特に藪化した場所は、体を隠せるため、イノシシの絶好の住処になります。そして、田畑周辺に増えた耕作放棄地も草が生い茂り、イノシシにとって快適な場所になっています。実際、被害を出すイノシシの多くが、山の中や林内ではなく、耕作放棄地を住処にし、人がいなくなるとそこから出てきて、農地へ出没するという事例が非常に多く見られます。中には、集落にある小さな耕作放棄地の中だけに住み、夜はその周辺でお腹を満たし、朝になるとまたそこに帰って寝るだけの生活を送っている、引きこもりのようなイノシシもいるくらいです。

 そう考えると、田畑周辺のイノシシの隠れ家・住処となっている藪や耕作放棄地を放っておくことは、イノシシをどんどん引き寄せることになり、防護柵や有害捕獲を正しく行っても、その効果を薄めてしまいます。藪・耕作放棄地をなくすことが、イノシシを農地へ寄せ付けない1番の方法ですが、現状ではなかなか難しいと思います。しかし、前述の「引きこもりイノシシ」は、住処の放棄地を草刈りしただけで、移動してしまい、その集落の被害が収まりました。また、田んぼの周りをいつもより2〜3メートル多めに草刈りをしたらイノシシが全然出なくなった、という農家の方もいますので、やはり藪・耕作放棄地を農地周辺から少しでも減らすことが、イノシシ対策の第一歩となります。やってやろう!と藪を徹底的になくせる人はもちろんですが、大変だなと思う人でも、藪や茂みをこれまでよりも1メートルでも2メートルでも広く草刈りをするだけで、イノシシの居心地を悪くすることができます。

岩と木が茂る場所にいる3匹のイノシシが正面を向いている写真

怖そうに見えても実はとっても臆病

草が沢山生え、奥には山が見える場所の中央に囲いが見える写真

実は畑周囲の藪の中でイノシシは暮らしている

西日本農業研究センター畜産・鳥獣害研究領域 研究員 堂山 宗一郎

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