阿尾島田A1号墳出土品(考古資料)

更新日:2023年12月14日

阿尾島田古墳群は前方後円墳・方墳・円墳からなる古墳群で、富山湾を見下ろす氷見市阿尾地内の丘陵上にあります。A1号墳はその中でも最も高所にある前方後円墳で、全長は約70mを測ります。富山県内の古墳としては同じく本市の柳田布尾山古墳(前方後方墳、全長107,5m)に次ぎ、前方後円墳としては県内最大規模の古墳です。

平成13~15年度に富山大学が発掘調査し、2基の埋葬施設(第1主体部・第2主体部)が確認されました。第1主体部は後円部墳頂の中央にあり、武器(槍・長剣・短剣・鏃)、農工具(刀子・鑿・鉇・斧・鍬鋤先)等の鉄製品や玉類(管玉・ヒスイ垂玉・ガラス小玉・ガラス連玉・錫小玉)の内容をもつ副葬品が埋葬当時の位置を保って出土しました。特に、玉類は、棺の内と上に散らばった状態で見つかっています。これは、首飾りの緒を切って、棺の内部と蓋上に撒かれたものとされ、葬送儀礼研究の貴重な資料といえます。

出土品は形状を留めるものが多く、質・量とも豊富です。このうち、鉄槍と鉄鏃、錫小玉は県内の前期古墳として初めての発見です。また、槍や短剣、柳葉式鉄鏃等定型化したものがある一方、長剣・鉄鏃・鑿は畿内ではあまり見られないもので、ガラス連玉・錫小玉は北部九州や丹後地方に類例が見られます。これらは、畿内を介さないルートで持ち込まれたと考えられ、広域にわたる地域間交流・交易を示す貴重な学術資料です。

県内最大の前方後円墳出土のこれら出土品は、古墳時代前期のヤマト政権と地方との関係を示す貴重な一括資料といえるでしょう。

阿尾島田ガラス小玉

阿尾島田ガラス小玉

阿尾島田鉄製品

阿尾島田鉄製品

文化財の情報

所有者

氷見市(氷見市立博物館)

数量

114点

概要

古墳時代前期の武器・農工具・玉類。当時の広域にわたる地域間交流・交易を示す一括資料

この記事に関するお問い合わせ先

博物館

郵便番号:935-0016
富山県氷見市本町4番9号 氷見市教育文化センター1階
電話番号:0766-74-8231 ファックス番号:0766-30-7188
メールでのお問い合わせはこちら