氷見市民病院の経営改革について
概要・内容
氷見市民病院の経営改革(公設民営化)は、経営危機に陥った自治体病院を私立医科大学が指定管理者となり、自治体と協力して再生させた先駆的な事例とされており、地域医療を支える新しい試みとして注目されています。
病院概要
名称
金沢医科大学氷見市民病院
所在地
富山県氷見市鞍川1130番地
開設者
氷見市
指定管理者
学校法人金沢医科大学
診療科
循環器内科など26診療科
病床数
250床
一般病床
245床(うち回復期リハビリテーション病床49床)
結核病床
5床
病院沿革
- 1948年7月 氷見郡国民健康保険団体連合会が氷見郡厚生病院を開設
- 1961年6月 富山県厚生農業協同組合による委託経営から氷見市の直営とし、 氷見市民病院と改称
- 1992年4月 地方公営企業法全部適用により管理者制導入
- 2008年4月 学校法人金沢医科大学による指定管理者制へ移行
- 2011年9月 新病院開院(鉄骨6階建て 事業費約50億円)
- 2013年12月 教育研修棟完成(鉄骨3階建て 事業費約4億円)
指定管理者制への移行
背景
度重なる診療報酬のマイナス改定、新医師臨床研修制度、7対1看護の実施などの影響で、2005年度以降、累積不良債務が急増し、氷見市民病院の経営はこれまでになく深刻な状況に追い込まれ、2007年度には、マンパワー不足から一部病棟の休止や代診医による対応を余儀なくされ、患者数が急減し、累積不良債務は増加の一途をたどる状況にありました。
一方、「国の三位一体改革」の影響等による市税や地方交付税等の一般財源収入の減少、高齢化の進行に伴う経費や公債費等の増加などにより、市の財政状況も非常に厳しい状況にあり、市民病院に対する財政支援は限界を超え、市の存立さえ立ち行かなくなってしまうことが予想されました。
こうした状況から、将来的に病院を維持していくためには、公設公営にこだわらず、新たな民間的手法の導入をせざるを得ないと考え、指定管理者制度による公設民営化の手法が最適と判断しました。
指定管理者制移行への取組
(2007年)
4月5日 氷見市民病院経営改革委員会設置(委員長 長 隆)
5月25日 氷見市民病院経営改革委員会答申
(公設民営がベストであるとの答申)
6月1日 病院経営改革推進プロジェクトチーム設置
6月22日 市民病院経営改善検討市民委員会
7月18日 行政改革推進市民懇話会
7月20日 公設民営化方針発表、職員労働組合に申入れ
8月20日から 第1回タウンミーティング開催(中学校区6か所)
9月19日 9月市議会で、病院設置条例改正案可決
(指定管理者制度を条例に盛込む。)
9月20日 指定管理者を公募(応募は2法人、うち1法人は辞退)
11月6日 選定委員会で、学校法人金沢医科大学を指定管理者候補者に決定
11月21日 臨時市議会で、学校法人金沢医科大学を指定管理者に議決
11月21日 第2回タウンミーティング開催(市内21か所)
11月22日 学校法人金沢医科大学と基本協定・細目協定を締結
12月18日 12月市議会で、病院設置条例・職員定数条例改正案可決
12月25日 就職相談窓口設置
12月27日 優先採用に係る第1次職員募集開始
(2008年)
1月15日 優先採用に係る第2次職員募集開始
3月18日 3月市議会で、病院関係条例・予算案可決
4月1日 金沢医科大学氷見市民病院開院
指定管理者制への移行の効果
- 医師、看護師の確保が図られたこと。(医師、看護師など医療スタッフの確保について心配する必要がなくなった。)
- 将来の未確定債務(不良債務の累積)が解消されたこと。(不良債務の心配がなくなった。)
- 病院が存続し、市民医療の充実が図られたこと。(常勤医師の充実、大学病院としての特色ある医療の展開、土曜日診療の実施)
- 職員の再就職の場が確保できたこと。(再就職を希望する職員が優先的に採用された。)
- 新病院の建設が実現したこと。(民間のノウハウにより大幅なコストダウン。建設費は基本的に指定管理者と折半)
- 民間の経営ノウハウにより、自主自立の病院経営が行われていること。(市から指定管理者に交付する政策的医療等交付金は、交付税算入額の範囲内)
経営状況の推移
職員数
職種 | 2007年度 | 2008年度 | 2015年度 |
---|---|---|---|
医師 | 32 | 28 | 41 |
看護師・助産師 | 173 | 151 | 209 |
看護補助員 | 16 | 28 | |
薬剤師 | 13 | 9 | 10 |
放射線技師 | 11 | 9 | 14 |
臨床検査技師 | 15 | 12 | 16 |
理学療法士 | 7 | 7 | 28 |
作業療法士 | 3 | 4 | 14 |
その他医療技術員 | 10 | 11 | 14 |
事務職員 | 15 | 29 | 35 |
その他職員 | 24 | 3 | 7 |
合計 | 303 | 279 | 416 |
病院事業収支
科目 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | 2011年度 | 2012年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
病院事業総収益 | 52億1,252 | 41億5,476 | 42億5,675 | 45億6,990 | 49億8,548 | 54億6,689 |
【内訳】医業収益 | 47億5,894 | 38億8,374 | 39億2,074 | 42億469 | 46億10 | 50億6,796 |
【内訳】医業外収益 | 4億2,972 | 2億7,102 | 3億3,601 | 3億6,521 | 3億8,539 | 3億9,894 |
【内訳】特別利益 | 2,386 | - | - | - | - | - |
病院事業費用 | 70億2,752 | 42億675 | 43億803 | 45億760 | 53億1,816 | 53億7,155 |
【内訳】医業費用 | 55億1,407 | 42億675 | 43億803 | 45億760 | 53億1,816 | 53億7,155 |
【内訳】医業外費用 | 1億9,072 | - | - | - | - | - |
【内訳】特別損失 | 13億2,273 | - | - | - | - | - |
差引純損益 | -18億1,500 | -5,199 | -5,128 | 6,230 | -3億3,268 | 9,534 |
科目 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 |
---|---|---|---|
病院事業総収益 | 55億8,004 | 56億5,137 | 55億9,951 |
【内訳】医業収益 | 52億328 | 52億8,345 | 52億4,190 |
【内訳】医業外収益 | 3億7,673 | 3億6,792 | 3億5,761 |
【内訳】特別利益 | - | - | - |
病院事業費用 | 56億290 | 56億1,293 | 56億5,874 |
【内訳】医業費用 | 56億290 | 56億1,293 | 56億5,874 |
【内訳】医業外費用 | - | - | - |
【内訳】特別損失 | - | - | - |
差引純損益 | -2,286 | 3,844 | -5,923 |
この記事に関するお問い合わせ先
病院事業管理室
郵便番号:935-8686
富山県氷見市中央町12番21号
電話番号:0766-74-8126 ファックス番号:0766-74-8257
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更新日:2020年03月27日