イタセンパラ(天然記念物)

更新日:2020年03月27日

野生絶滅が危惧される淡水魚

 本種はコイ科タナゴ亜科に属し、氷見市の一部河川及び大阪府の淀川水系、愛知県の濃尾平野に限られるとされていますが、主要生息地である淀川水系において2006年から全く確認されないなど、野生絶滅の危機が高まっています。1974年に天然記念物(文化庁・文化財保護法)に、1995年に国内希少野生動植物種(環境省・種の保存法)に指定されました。富山県内の分布は射水平野と氷見市の十二町潟周辺河川に生息していたとの記録があります。しかし、射水平野では1958年以降の確認はなく、絶滅したと考えられています。

水中を泳いでいる婚姻色の出たオスのイタセンパラの写真

写真:婚姻色の出たオスのイタセンパラ

環境省レッドリスト 絶滅危惧1A類
富山県レッドリスト 絶滅危惧種

生活史・繁殖生態

 1年で成熟し、10月頃にイシガイやドブガイの生きた淡水二枚貝の体内に卵を産みこむ。受精後約1週間でふ化し、貝の中で冬を越し、翌年5月に貝から全長9ミリメートルで泳ぎ出ます。貝の中での発育には、冬季間における低温要求が必要なことが報告されています。

 イタセンパラは国指定天然記念物(文化庁:文化財保護法)国内希少野生動植物種(環境省:種の保存法)に指定されており、許可なくイタセンパラを捕獲することは禁止されています。

氷見市イタセンパラ保護増殖事業計画-保存と保全-

 氷見市ではイタセンパラの生息が危ぶまれていることから、氷見市イタセンパラ保護増殖事業計画を策定し事業を進めています。イタセンパラ保護池を整備することでイタセンパラの繁殖に毎年成功した結果、2006年8月に文化庁より「イタセンパラを管理する地方公共団体」に指定され、2007年3月には環境省の「イタセンパラの保護増殖事業計画」に適合した地方自治体として飼育研究に取り組んでいます。

氷見市南部に造成した草で覆われたイタセンパラ保護池の写真

写真:氷見市南部に造成したイタセンパラ保護池

 イタセンパラ保護池では毎年約2000個体のイタセンパラの繁殖に成功し、一部のイタセンパラを小学校における総合的な学習の時間で取り扱い、絶滅危惧種に対する教育や環境教育への積極的な活用を実施しています。

指定年月日:1974年6月25日(文化庁:文化財保護法)・1995年4月1日(環境省:種の保存法)

(注意)「イタセンパラ」のパンフレットは希望の方に郵送します。
希望される方は教育総務課へメールを送信

この記事に関するお問い合わせ先

博物館

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富山県氷見市本町4番9号 氷見市教育文化センター1階
電話番号:0766-74-8231 ファックス番号:0766-30-7188
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