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合言葉は、ハロー&サンキュー 〜「常念寺」上杉靖吾さん〜(おらっちゃ広報vol.7)

更新日:2017年12月5日このページを印刷する

上杉靖吾さん

撮影:木原盛夫

皆さんには、自宅のほかに、安心して過ごすことのできる“場所”はありますか。法要でなくともご本堂に集まっておしゃべりに興じる大人たち。境内に響く、子どもたちの元気な声。心穏やかに過ごせる“場”として、お寺という空間が地域の人たちに親しまれていた時代が、かつてありました。しかし、今では訪れる人もめっきり減って…。

そんな中、〈お寺×地域コミュニティ〉をテーマに、お寺の活用を働きかけている“若はん”がいます。窪にある浄土真宗本願寺派「常念寺」・上杉靖吾さん。お寺って敷居が高くて、堅苦しい?そんなイメージはちょっと脇に置いて、上杉さんの言葉に耳を傾けてみましょう。

冬の常念寺

撮影:木原盛夫

地域の人たちの支えと共に。

15世紀に開基したという、長い歴史を持つ常念寺。ご本堂の屋根には氷見の海岸沿いなどで良く見られる黒瓦が葺(ふ)かれていて、前庭にはイチョウの巨木が立派に枝を伸ばしています。

常念寺のご本堂

撮影:木原盛夫

広々としたご本堂の外陣(げじん=参列者などが座る場)。見上げると格調高い格子天井で、梁も欄間(らんま)もとても立派です。

常念寺の欄間
常念寺の仏堂

撮影:木原盛夫

しかし、こんな心地の良いお寺の空間が、今はあまり活用されていないと上杉さんは言います。

「氷見は県内でも比較的お寺が多い地域。でも、うちのお寺で言うと、永代祠堂経、花まつり、お盆、報恩講など年に10日ぐらい大きな行事がありますが、何も使用していない時間や時期がたくさんあるんです。昔はお葬式でも使っていたし、何にでも使える集まりの場だったんですよ。境内で遊ぶ子どもたちの姿もあまり見られなくなってしまいました。本当にもったいない」

そんな中で、数年前、常念寺で本堂修復の完成を祝う大きな法要が行われました。法要時はもちろん、事前の準備や法要後の宴会まで、多くの門徒さんたちの支えがありました。そこから、上杉さんは、報恩感謝の気持ちをもって、門徒さんたちをはじめ地域の人たちにご恩返しをしていきたいと、改めて思うようになったと言います。

本堂で語る上杉さん

撮影:木原盛夫

実は、オープンでポップな浄土真宗。

そこで上杉さんは、2016年、「ハロー&サンキュー・氷見のお寺さんを活用しようプロジェクト」を立ち上げました。“よう来なさった、ありがとう(ハロー&サンキュー)”と軽やかに、お寺の場を開いていこうというこのプロジェクト。

上杉さんは、「門徒さんに限らず、お寺という場を活用したい人の“必要=ニーズ”にこたえていけたらと思っています」と話します。

この浄土真宗の“軽やかさ”について、上杉さんがわかりやすく教えてくれました。

「浄土真宗って、もともとそういう気質の宗教だったと思うんですよ。例えば、他力本願と言いますが、これは『独力で厳しい修行を重ねて悟りを得よ』というのではなく、『私たちはこのままでいいんですよ』ということなんです。ロックンロールにたとえるならば、俺もボン・ジョヴィみたいになりたいぜ!と、血豆を作りながらギター練習に精を出すのではなく、気軽にファンクラブに所属するといったイメージ。ボン・ジョヴィのCD配って、みんなで聴こう!みたいな」

そして、こう続けます。
「大事なのは、人の心を安んじる親鸞上人の教えを残すことで、このお寺を運営していくシステム自体は、時代に合わせて柔軟に改めていっていいと思うんです」

肩肘張らずにやわらかく、「よう来られた」と心を開き、そうして、みんなの“必要”に耳を澄ませて、お寺の場も開いていく。

そう、実は、浄土真宗って、すごくオープンでポップなんです。

夢を熱く語る上杉さん

撮影:木原盛夫

 

人の夢を応援できる、そんなまちに。

上杉さんに、このプロジェクトを通して実現したい夢を尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「私がこうしたい!ではなくて、お寺を何に使いたいですか?という問いかけをしていきたいんですよね」

実際、“ニーズ”に耳を傾けてみると、若い世代の人々から、「やりたい」という声が次々と出てきました。例えば、子育て支援や料理教室、同窓会、婚活、仏前結婚式など、夢は広がります。

そして、そのアイディアを形にしていくのは、「やりたい」と夢を掲げた人だけではなく、それを支えていく“仲間=他力”の集い。上杉さんの「ハロー&サンキュー」という姿勢を通じて、この氷見で、もっともっと夢を応援し合える人が増えていったら、素敵ですね。

上杉さんが描いた富山の風景
上杉さんの絵の中の鯉のぼり

お寺を必要とする人に、ただ「どうぞ」と応えていきたい。

上杉さんは小さい頃から絵が好きで、高校卒業後は名古屋芸術大学に進学し、油絵を専攻しました。卒業後は氷見に帰り、美術の非常勤講師を経て、現在は、富山市婦中町にある特別支援学校の教諭を務めています。

「特別支援学校なので、もちろん絵もですが、国語から算数、音楽まで、全部教えています。そういった教科だけでなく、手の洗い方やうがいの仕方なども。つまり、日常生活全般についてですね」

そう話す上杉さんが描いた、一枚の油絵。

特別支援学校から見た富山の風景です。空には鯉のぼりが、ぷかり。風に乗って、気持ちよさそうに空を泳いでいます。地域の暮らしを眼下に眺めながらも、空はどこまでも広く、心はこんなにも融通無碍(ゆうづうむげ)。

常識にとらわれずに、今ある環境と周りにいる人たちに感謝しながら、この絵に描かれた広い空のように、お寺を“自由で心地よい場”として開いていきたい。そして、お寺を必要とする人に、ただ「どうぞ」と応えていきたい。この絵には、上杉さんのそんな想いが込められているように感じました。

 

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