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鳥獣被害を防ぐために私たちにできることVol.9

更新日:2016年12月1日このページを印刷する

イノシシの繁殖のウソとホント

 

 全国の色々な地域で研修会をやっていると、イノシシについて様々な質問を受けます。中には、噂話や思い込み等の事実と異なる話も多くあります。今回は、よく質問されるイノシシの繁殖に関して紹介します。

 

何頭の子どもを産むのか?

イノシシがどの時期にどのくらい子どもを産むのか知っていますか?イノシシは年に1度、4月から6月に、平均で4から5頭の子どもを産みます。しかし、「最近のイノシシは田んぼや畑で良いものを食べているから10頭以上産むようになのではないか」という話を聞くことがあります。

その答えですが、イノシシが1回の出産で産む子どもの数は、栄養状態によって変わりません。飼育して栄養豊富な餌を常に与えているイノシシでも、1回の出産で産む子どもの数は平均4.5頭ということがわかっています。

しかし、生まれた子どもたちの生死には、母親の栄養状態や周囲の餌の量により変わってきます。本来、イノシシの出生時の体重は1kg以下と非常に小さく、病気等で早期に死んでしまうことが多く、体脂肪も大人ほど多くないため、冬を乗り越えて1歳を迎えるまでに大半の個体が死んでしまいます。しかし、集落周辺で高栄養の餌を食べていると、母親の乳の出も良くなり子どもたちはすくすく育っていきます。さらに冬を迎えても、取り残した柿の実や田んぼの2番穂を食べることができると、多くの子どもたちが生き残ります。そのため、防護柵でイノシシの侵入を防いだり、2番穂や放棄果樹をイノシシに食べさせないようにすることは、イノシシの増加を抑制することにも繋がっています。

 

イノブタは関係ない

 イノシシを家畜化した動物がブタであるため、両種は交配することが可能です。そのため、「最近のイノシシはブタと交配して「イノブタ」になったから、たくさん産むようになったのではないか」という質問を受けることも多いです。

 しかし、全国各地で行われた遺伝子調査で、ブタの遺伝子を持っているイノシシはほとんどいませんでした(1%以下)。毛や蹄の白いイノシシを「イノブタだ!」という人もいますが、イノシシは毛や蹄の色に変異が出やすい動物ですので、そのような違いは一般的なことです。

 「いや、うちの地域は絶対イノブタだ!」という人がおられるかもしれませんが心配ありません。そもそもイノブタになった時点で、すでにブタのように10数頭の子どもを生む能力がなくなります。野生化したイノブタが、さらにイノシシと交配した「イノイノブタ」は、イノシシと同程度の繁殖能力しか持っていません。仮にブタやイノブタが野生化しても個体数が急増することはないでしょう。

 

生後1ヶ月のイノシシ

【生後1ヶ月のイノシシの子ども】

 

餌を食べるイノシシ

【良い餌を食べて順調に育った子どもたち】

 

雪の中を歩くイノシシ

【冬は子どもにとって大きな試練】

 

西日本農業研究センター 研究員 堂山 宗一郎

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