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鳥獣被害を防ぐために私たちにできることVol.8

更新日:2016年9月30日このページを印刷する

放任果樹が拡大させるイノシシ被害

 

 先月は、稲刈り後に生えてくる2番穂がイノシシの餌になり、被害がどんどん酷くなることを紹介しました。今回は、2番穂と同じ様に私たちの知らないところでイノシシの餌となり、イノシシを集落近くに引き寄せている「放任果樹」について紹介します。

 

イノシシはどこで果物を食べているのか?

 イノシシは甘いものが好きなので、葉物野菜より甘い果実のほうが被害にあいやすいです。ミカンにリンゴ、ナシ、カキ等ほとんどの果物で被害が発生しています。ただし、果物は単価が高いため、農家さんもしっかりと防護柵をしたりして対策を行っているため、イノシシも簡単に果物を食べることはできません。しかし、イノシシの胃の中身や糞を調べてみると、果物を食べた形跡が多く見つかります。イノシシはどこで果物を食べているのでしょうか?

 ここで皆さん、自分の家の周りや田畑の周辺をちょっと思い出してください。誰も収穫していない果樹がその周りに植わっていないでしょうか?私が住んでいる島根県には、家の近所や田んぼの脇等、いたるところにカキの木が植えられていますが、11月にそれらを見ると、ほとんど収穫されずに実が残ったままです。そして、放置された果樹の木の下に行くと、地面に落ちた実をイノシシが食べた痕跡がいっぱいあります。実は今、日本中で人間が収穫しなくなった果樹=放任果樹がどんどん増えており、それらがイノシシ被害を拡大させる原因の一つになっています。

 

放任果樹1本、獣害の元

 私と同じ職場の研究員の方が、1本の放任されたカキの木の下にカメラを設置して、そこにどれくらいの野生動物が来ているかを調べてみたところ、8種類の哺乳類が来ていました。そして、イノシシやタヌキ、ツキノワグマといったほとんどの動物がその実を食べていることもわかりました。つまり、集落に収穫しないカキ等の果樹があるだけで、たくさんのイノシシや野生動物を誘引することになり、それによって彼らに集落や農地周辺は最高の餌場であることを覚えさていることにもなります。放任果樹の実以外にも、出荷できない果実や摘果したまだ熟していない果実を、イノシシが食べられる場所に捨てておくことも、イノシシを誘引することになります。

先月も書きましたが、イノシシは餌場だと学習すると集落の周辺を生活拠点にするようになり、農作物への被害がどんどん酷くなっていきます。放棄果樹の実をいかにイノシシに食べさせないようにするかでも、イノシシ被害が大きく変わってきます。

 

伐採するか収穫できる栽培にする

 イノシシの餌を減らすために集落にある放任果樹を減らすことを行っている地域が少しずつ増えてきました。自分の土地にある木はもちろんの事、集落にある放任果樹をみんなで確認し、伐採できるものは切り、収穫したいものは収穫できる様に剪定方法を変えたりして低樹高化する等をしてきちんと実を取っています。このような地域では、イノシシが集落にとどまる時間が減るため、防護柵の効果がさらに上がり、被害が減っています。皆さんも一度、家や田んぼの周りにどれだけ放任果樹があるかを確認するところから始めてみてください。

柿の木の写真

【田んぼ脇のカキ。誰も取らないのでイノシシの餌。】

 

イノシシに食べられたイチジク

【イノシシに食べられた放任イチジク。葉っぱに足跡が残っている。】

 

摘果されたリンゴ

【摘果されたリンゴ。これもイノシシは食べる。】

 

西日本農業研究センター 研究員 堂山 宗一郎

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