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「食」を通して「生きる」を伝える 〜キトキトごはん氷見のお料理道場〜(おらっちゃ広報vol.3)

更新日:2017年2月23日このページを印刷する

お料理1

 自分の身体と、そして、心までをも形作っていく、大切な「食」。

 特に小さな子どもたちにとっては、その一食一食が成長の源ともなるかけがいのものです。

 そのような「食」という大事なテーマを通じて、子どもたちに「生きる力」を伝えているのが、食育ボランティア活動団体「キトキトごはん氷見」です。代表は、十二町にあるイタリアンキッチン「オリーブ」の梶明美さん。2歳から小学生までの地元の子どもたちを対象に、年間10〜12回ほど料理教室を開催していらっしゃいます。

 今回は、昨年2016年12月9日に行われた「きときとキッズお料理道場」の様子を通して、氷見で行われている食育の“今”について、お伝えしていきたいと思います。

お料理2

 「氷見の食材でごはんを作ろう!」と題された12月の料理教室は、北大町にある「創作工房ひみ」で行われました。参加したのは、保育園の年長組の子どもたち。保護者の方々も来られていて、とてもにぎやかな雰囲気でした。

お料理3

 

 

 この料理教室では、ご飯を炊き、お味噌汁と魚料理などの主菜、そしてもう一品の副菜というラインナップで、「一汁二菜」を作ることを基本としています。

 ・鍋ごはん

 ・魚の照り焼き

 ・豆腐と氷見ねぎのみそ汁

 ・柿なます

 ・灘浦みかん(デザート)

お料理4

 さあ、いよいよ、料理教室がスタート。実習の前に、まずは料理のお手本を、しっかりと子どもたちに見せていきます。子どもたちは先生のお話をしっかりと聞きながら、その手元にじっと視線を集中させていました。

 「先生、なにをしているんだろう?」という、らんらんとした好奇心。

 そして、「これから、自分たちも先生のように料理するんだ!」という、自負にも似た思い。

 子どもたちの小さい背中からは、そんな健康的な好奇心とヤル気が感じられてきました。

お料理5

 この料理教室では、子どもたちに、「食のルーツ」を伝えていくことに力を注いでいます。目の前にある食材はどこから来たものなのか。お父さん、お母さん、そして、おじいちゃん、おばあちゃんは、その食材をどうやって食べてきたのか。

 そういった、食にまつわるストーリーを子どもたちに伝えていくためにも、地元・氷見でとれる旬の食材を使っているんですね。

 今回のメインディッシュは、「ふくらぎ」の照り焼き。

 「このふくらぎというお魚は、大きさによって呼び名が変わっていくんですよ。つばいそ、こずくら、ふくらぎ、がんど、ぶり…」

 先生は、子どもたちに実際の魚とイラストを見せながら、しっかりと説明していきます。小さな子どもだからどうせ分からないだろうなどと、伝えるべきことを省いたりはしません。大人が聞いていても、学びになるようなことを、ていねいに順序立てて話していきます。

お料理6
お料理7

 そして、先生のお手本を見た後は、いよいよ、子どもたちが実際に手を動かす実習の時間。

 まだ保育園児なのだから、それこそ手取り足取り一緒になって作っていくのかな。そう思っていて眺めていたら、子どもたちはそれぞれ包丁を手に取って、自分のペースで長ネギ(氷見ネギ)を切っていきます。柿なます用の大根に、ピーラーを当てている子もいます。

 この料理教室では、大人は過保護に手を出すことはおろか、「こうしなさい、ああしなさい」と口を出すこともしません。料理を作るのは、あくまでも子どもたち。大人は見守り役に徹します。

 すると、子どもたちは、初めはたどたどしい手つきながら、短い時間の中でも、「コンロのスイッチが押せた」「包丁でネギが切れた」と、小さな成功体験を積み上げていきます。

 誰かにやらされたのではなく、自分で選んでやったこと。

 そんな主体的な体験を通じてこそ、子どもたちの「自分で行う力」は育まれていくのだと、目の当たりにしました。

お料理8

 子どもたちの成功体験をサポートするためのきめ細かい工夫も、随所に施されています。

 。例えば、調味料はあらかじめ小分けにして、メニューごとに色分けしています。また、手首の骨が発達しきっていない子どもの手にもなじむように、茶碗や調理器具についても、計算されたサイズ・重量のものを採用しています。

お料理9

 当日、先生役を務めたスタッフの方は、こう話してくれました。

 「楽しいし、子どもたちからパワーがもらえるんです。人間、自分で経験するということが大切ですよね。子どもたちが良い経験と出会うこと。私たちが、その一助になれればいいなと思っています」

  その言葉を聞いて思い出す、今回の料理教室の中の一コマ。折りたたまれていた昆布をサポートスタッフの皆さんで長く広げて、子どもたちに見せていました。

お料理10

 「料理というのは、すべての五感を使う作業なんですよね。匂いをかいだり、手を動かしたり、そして、舌を使って味見をしたり。

 お出汁も昆布などからしっかり取ります。では、昆布って、どんなもの? その現物をしっかりと紹介して、子どもたちに五感を使って学び取ってもらいたいんです」

 子どもたちは長く長く広げられた昆布を見て、わーっと歓声を上げていました。驚きという感動。この長くて黒いものが、お味噌汁を美味しくしてくれる“秘密の種”なんだ!

 「そうして、子どもたちが五感を使って学ぶことを覚えていってくれたら、震災などのいざという時に、“生きる力”を発揮できる子に成長してくれるんじゃないかと思っています。 

 例えば、“電気釜がないけど、むかし、お鍋でご飯炊けたよね”って。子どもたちが、この料理教室で、そんな知恵と成功体験を積んでいってくれたら…、それが私たちの何よりの幸せです」

お料理11

 それでも、と講師の方は言葉を続けます。

 「それでも、まだまだ反省の日々です。子どもたちの目線になっているつもりなのですが、どうしても言葉が足らなかったかなと思ったり。しっかりと伝えきれたということは、ないんです」

 大人以上にコミュニケーションへの気づかいが求められる、子どもの食育現場。そこで、「キトキトごはん氷見」では、スタッフ育成のために、神戸の食育・料理研究家である坂本廣子先生による養成講座を、随時実施しているといいます。

 「坂本先生もよくおっしゃいますが、“自分が食べるものを、自分で作れた”ということが、子どもにとって、とても大きな達成感になるのだと思います。ひとつひとつの“できた”が積み重なって、“やればできる”という自信につながるんですね。子どもたちの“ひとりでできるもん”を引き出してあげたい。そういう思いで、スタッフ一丸となって取り組んでいます」

 小さい時から本物を見て、正しいやり方を体験している。

 そうして、自分で自身の命に責任を持ちながら、それを大切に育んでいくことができる。

 「キトキトごはん氷見」が食育を通して示してくれた、子どもの育み方。

 大人の常識で子どもに限界を設けるのではなく、まずは、子どもの無限の可能性を信じてみるということ。

 ここには、もしかしたら、“大人”も“子ども”も関係ない、「すべての人との誠実な付き合い方」についての、大切なヒントが隠されているのかもしれませんね。

■キトキトごはん氷見のFacebookページは こちらより

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