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鳥獣被害を防ぐために私たちにできること vol.3

更新日:2016年4月28日このページを印刷する

イノシシの嫌いなニオイ・音・光は無い!

 

忌避材はイノシシに効かない

 今年の田植えや夏野菜の植え付けは無事に終えられたでしょうか?これから様々な作業で忙しくなる農家の皆さんにとって、藪の刈り払いや電気柵の設置よりも、もっと簡単なイノシシ対策はないのか?と思う方も多いはずです。そのような思いは全国共通のため、「ニオイや音、光は手間が掛からないし、効果があるのではないか?」といった相談をよくされます。結論を先に言いますと、ニオイや音、光を使った忌避材や装置をイノシシや野生動物が嫌うことはありません。今回は忌避材のヒミツを紹介します。

 

なぜ効果があると感じるのか?

 忌避材を使用すると、イノシシが来なくなったように感じることがあります。しかし、これは忌避材そのものをイノシシが嫌ったからというわけではありません。 毎日侵入していた農地に、ある日突然いつもと違うニオイや音がする。「いつもと違う」という環境の変化に対してイノシシは、「何か危険なことが起こるかも」と考えて警戒します。しかし、農地で美味しい物を食べてきたイノシシたちは簡単に諦めません。偵察に訪れては周辺の様子を探り、ニオイや音以外の状況が今までと変わりなく特に危険なこともないとわかれば、忌避材・装置を無視して簡単に侵入します。イノシシは必ず慣れてしまうということです。

科学的な裏づけとして、忌避効果があるとされている100種類以上のニオイや光、音をイノシシに提示する実験を行ってきましたが、嫌って逃げる物は1つもありませんでした。それどころか、刺激の強いニオイ等は好んで体に擦り付け、誘引するような効果がありました。今のところ、イノシシが本質的に嫌がる物質は存在せず、逆に呼び寄せてしまう可能性があることがわかっています。

 

流行りのオオカミ尿や青色LEDも効果なし!

 オオカミはイノシシの天敵なので、その尿を嫌うという売り文句の忌避材が流行しています。しかし、日本のオオカミは100年以上前に絶滅しており、イノシシたちはオオカミを見たことも襲われたこともありません。この状況でイノシシがニオイだけからオオカミを想定することはないでしょう。また、そもそもイノシシにとってオオカミはそれほど驚異的な敵ではなく、大人のイノシシであれば逆にオオカミを撃退することもできます。

 もちろんイノシシにオオカミ尿を提示する実験も行いましたが、嫌がるどころか尿を舐めたり体に擦り付けたりしました。どうやらオオカミ尿も本質的に嫌がることはないようです。これは他の猛獣(ライオンやトラ等)の糞や尿でも同じです。

 この他にも、青色LED(青い光)や超音波を利用した忌避装置も近年の流行ですが、これらも研究により効果がないことがわかっています。

 怪しい忌避材や装置にお金を使うよりも、大変かもしれませんが、防護柵を適切に設置し、田畑周辺の茂みを減らすことの方が確実にイノシシ被害を減らせます。

 

忌避材で売られている液体に体を擦り付けるイノシシ

【忌避材で売られている液体に体を擦り付けるイノシシ】

 

青色LEDを無視してエサを食べるイノシシ

【青色LEDを無視してエサを食べるイノシシ】

 

西日本農業研究センター 畜産・鳥獣害研究領域 研究員 堂山 宗一郎

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