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【物語】能力を“シェア”し合う、みんなの家 〜「ひみいろハウスプロジェクト」穴倉明子さん〜(おらっちゃ広報vol.14)

更新日:2018年8月23日このページを印刷する

穴倉明子さん

戦後より、核家族化の問題は社会的に長らく注目されてきましたが、近年では独り身世帯も急激に増えてきていると言います。そんな現代にあって、誰かに頼りたくとも頼れずに、心細さと寂しさを抱えながら日々を過ごしている方も、少なくないのではないでしょうか。

そういった中、幸町に住む社会福祉士の穴倉明子さんは、ひとつの夢を抱いています。

血のつながりによらず人々が自由に集い、助け合いの関係を築いていける“みんなの居場所”を、この氷見につくりたい。一人ひとりの役割が尊重され、それぞれの能力を生かし合える開かれた場所を増やしていきたい。色とりどりな個性が集うその場所は、そう、「ひみいろハウス」。

そんな夢の実現に向けて、穴倉さんは今、さまざまな場所で声を上げています。その声に耳を傾け、わたしたちも穴倉さんと一緒に、「ひみいろハウス」がある氷見の未来を思い描いてみませんか。

(イメージ)松田江浜の風景

 

必然ともいえる流れで、そこにたどり着いて。

母子家庭の中、親の愛情を強く感じながらも、決められたレールをたどるようにして商業科の高校に進学した穴倉さん。その中で、唯一面白いと感じたのが商業法規の授業でした。初めて触れた“法律”や“権利”という概念が、当時の穴倉さんには、とても新鮮に映りました。

そして、自然に湧いてきたひとつの問い。
「人の権利って、なんだろう」

20代のころ病院に勤務する中で、いよいよ、そのテーマへの関心が大きくふくらみ、穴倉さんは働きながら行政書士の資格を取得しました。

そんな折、次男の仁誠(じんせい)くんを授かります。仁誠くんは、知的障がいをもって生まれてきました。穴倉さんは、家族や周りの方たちとともに、そんな仁誠くんを、時に涙を流し、時にその成長を喜びながら、大切に守り育てていきました。

そして、40歳になって、穴倉さんは社会福祉士を目指して通信教育課程のある大学で学び始めます。

「それで、社会福祉士の資格を取得しました。行政書士の資格を取る際に法律上の権利について学び、仁誠が生まれて、そして、社会福祉士。これはもう、自分にとっては必然的な流れだったんだと思います」

権利について話す、穴倉さん

 

人を大切に思うのは、結局は人にしかできないこと。

現在、社会福祉士を生業にしながら成年後見人としても活動を行っている穴倉さんですが、その活動や仁誠くんと過ごす時間の中で、気が付いたことがあると話します。

「人の権利を守るためにある法律も、もとを正せば人がつくったもの。だから、人の権利を守るのも、やっぱり人。だから、人を大切に思うのも、人をあたたかい気持ちにできるのも、結局は人にしかできないことなんだって

個人的な体験から権利に興味を抱き、そして、法律的な側面から権利を学び、そしてまた、人間的なぬくもりやつながりという観点から権利を捉え直した穴倉さん。穴倉さんは言います。

「教育や表現、思想など、人には守られるべき様々な権利がありますが、それらの権利の根底にあるものが“居場所”なのではないかと思うんです。逆に言えば、自分の存在が肯定される、そんな“居場所”がなかったら、他のどんな権利も宙に浮いてしまうということ。だから、私はまず“居場所”というものを、大切にしていきたいんです」

 

穴倉さんの背中を押した、ある“ねこ”の物語。

穴倉さんの背中を押したねこ”ととちゃん”

そして、穴倉さんは自分の夢を、2015年の「氷見市ドリームプラン・プレゼンテーション(ドリプラ)」の中で、次のような言葉にのせて伝えました。

「家族でもない、親戚でもない、血のつながりのない人たちと、あたたかい体験をもっと多くの人にしてほしい。わたしの夢は大好きな氷見のなかに、もっともっとあたたかい心が伝わり、誰もが幸せを感じることができるような、“みんなの居場所”になれるような家ができることです」

この言葉には、きっと多くの人たちが熱く胸を打たれたことだろうと思います。
家族や周囲の仲間たちの支えもあってドリプラの壇上に立った穴倉さんですが、実は、その他にも、穴倉さんの背中を押した存在がいました。

それは、あるシマ模様の“ねこ”でした。

物語は「第1回ひみ永久グルメ博」が開かれた2014年10月にまでさかのぼります。

氷見漁業文化交流センター

「グルメ博で、人間が美味しいものをたらふく食べている会場のその裏側で、ねこが捨てられてダンボールの中に入ってたの」と、穴倉さんは当時を思い出しながら話します。

「でも、2匹もいるし、うち、どうにもできんわ、ごめん、見て見ぬ振りしよって。でも、次の日がすごい嵐だったんです。すごく気になっちゃって。そして、細かい煮干しを持って行ってみたんです」

すると、突風吹き荒れるなか、2匹のねこは、まだダンボールの中に入っていました。

「でも2匹いるしな、と困っていたら、車がす〜っときて。その女性は、連れて帰ろうと最初から思っていたようで、ペット用のキャリーバッグにごはんを持っていて。そして、その人と1匹ずつ飼うことにしたんです」

ちなみに、この第1回永久グルメ博の時に「ひみ漁業交流館 魚々座」の名前が公表されたとのことで、それにちなんで、穴倉さんのねこの名前は、ととちゃんです。

そんなととちゃんをなでながら、穴倉さんは続けます。

「ねこを一緒に拾った女性は市役所の商工観光課(当時)の人で、10分違えばそこで会うことはなかったし、しかも、その方がドリプラ担当だったんです。こういう出会いってあるんだなって思いました。このととちゃんがつなげてくれたって。だから、この子がわたしにドリプラに出なさいって背中を押してくれたんだなって、今では感じているんです」

お座敷

さらに、ととちゃんの“やんちゃ”も、背中をもうひと押ししてくれたのだと、穴倉さんは笑いながら話します。

「あと、この子が、うちのお座敷をひっかいてくれたおかげで、厳粛にお座敷を保とうという気が、いい意味で吹き飛んだんです。だから、このスペースをもっと活かしたほうがいいんじゃないかって」

「能力をシェアしあう場を作りたい」と語る穴倉さん

 

能力を”シェア”し合う場をつくりたい。

“ととちゃん”の後押しもあって、座敷などの“自分の家の空きスペース”の利用を計画している穴倉さん。まずは“自分の身の周りにあるもの”を活かしつつ、将来的には空き家の活用も視野に入れながら-。そうして、「ひみいろハウス」の夢と構想は、豊かにふくらんでいきます。

例えば…、

・既存のデイサービスのすき間時間を補って、ちょっとした見守りが必要な人などをサポートしていく「トワイライト(夜間)型サービス」

・市民のみんなが相談員となって、それぞれの得意分野を活かしながら課題解決を促していく「よろず相談所」

・本やおもちゃがあって、子どもたちが自由に遊べる「おもちゃの図書館」

・市民一人ひとりが得意なことや知恵を気軽にシェアし合える「プチ習い事」

などなど。障がいの有無や老若男女の区別なく、今までは交わることのなかった人びとが一つの場所に集いながら、それぞれの知恵・物・時間・力・心など、分け合えるものを少しずつ増やしていく。そうして、ゆくゆくは、“住まい(居場所)”をシェアしていける「多機能型シェアハウス」へ。

穴倉さんは、構想を描いたボードを前に、「想いだけは強いんですよ。頭で考えている分には、自由でしょ」と、ほがらかに笑いながら続けます。

「子どもでも、お年寄りでも、そして、たとえ障がいがあったとしても、一人ひとりにはいろんな能力がありますよね。そういう能力をシェアし合う。キーワードは“シェア”。『ひみいろハウス』を能力や役割をシェアし合う場にしていけたらいいな、と思っています」

プロジェクトの今後については語る穴倉さん

「このプロジェクトへの夢を語り、多くの方々から応援をいただいて、氷見の大きな可能性と人の力の無限さを感じました」と語る穴倉さん。ドリプラ後も、いろいろな場所で、構想を発表する機会に恵まれました。

しかし、その想いの一方で、このプロジェクトを自分が中心になって進めていきたくても、大変難しい制約があることにも気付かされたと言います。「ひみいろハウスプロジェクト」が、期間限定のイベントではなく、日常を作ることそのものであり、365日全てに関わってくるものだからです。

「わたしは障がい児の親です。子どものことも常に気にかけなければならず、なかなか時間を自由に使うこともできません。だから、私や今の協力者たちだけでなく、新たにチームのメンバーもどんどん追加していく必要があると考えています」

「ひみいろハウスプロジェクト」は、まだまだ歩み始めたばかりです。
あなたも、この活動に関わることで、この氷見に、あたたかい助け合いの輪を広げていきませんか。

 

 

■穴倉さんが登壇した「氷見市ドリームプラン・プレゼンテーション2015」については こちらより

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