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“ふるさとの味”という、種を蒔いて 〜「柿太水産」柿谷政希子さん〜(おらっちゃ広報vol.11)

更新日:2017年12月18日このページを印刷する

 

柿太水産・柿谷政希子さん

その味に触れれば、どこにいても、氷見を思い出すことができる。そんな人生のよりどころともなる“ふるさとの味”を、こだわり抜いた水産加工品の数々を通して、私たちに届けてくれている人がいます。
「柿太水産」の6代目・柿谷政希子(かきたにせきこ)さん。

味覚が、ふるさととつながっていること。その大切さを伝える政希子さんのお話に、耳を傾けていきましょう。

柿太水産の外観

 

氷見に寄り添い、できることを正直に。

氷見漁港からほど近い、北大町にある柿太水産。「柿太」の屋号が刻まれた白い外壁には、イワシの飾りが三つ、可愛らしく踊っています。

加工場には、小さなアジを小気味良いリズムで手開きする、スタッフのおばちゃんたち。茹で上がり白い湯気を上げながら、朝の光を受けて銀色に輝くイワシ。柿太水産の変わらぬ風景です。

加工場のおばちゃんたち

扱っている商品は、みりん干し、一夜干し、煮干し、ぬか漬けなど、約20アイテム。できたての干物や煮干しも、加工されたその場で買い求めることができます。

政希子さんは一掴みの煮干しを手のひらに載せながら、話します。

「煮干しにするイワシは、まっすぐで背が黒いセグロイワシ(カタクチイワシ)。味の特徴は、力強いけれど臭くなくて、癖がない。漁港に揚がったものを根こそぎ買うのではなくて、いい時期にとれた、いいものだけを選ぶようにしています」

「氷見煮干」(カタクチイワシ)

酸化防止剤などの添加物は一切使用せず、原材料はイワシと塩のみ。それに、こだわりと手間暇、愛情が添えられて、柿太水産の煮干しは日々大切に生み出されています。そして、煮干しだけに限らず、その姿勢は全ての商品に対してもまっすぐに貫かれています。

「私たちは、できることを正直にやるしかないと思っています。氷見のものを使わせてもらって、真面目に一生懸命。それだけなんです」

愛情を込めて、できるだけ自然のままの商品たち

 

守り継ぎ、そして、変化に挑む。

創業から数えて、政希子さんで6代目。

柿谷(かきなや)地区に生まれ育った初代・柿谷太助(かきたにたすけ)さんが海の仕事で一旗揚げたいと志し、山里から上庄川を下ってきたのが明治初期のこと。「おい、柿太」と仲間たちから親しみをもって呼ばれ、その愛称が屋号となり、現在まで脈々と受け継がれています。

そうして今や、市内を始め東京や大阪などの都市部でも、多くの人たちに愛されている“柿太印”の品々。氷見の美味しいものを愛情と手間暇をかけて、できるだけ自然のままに近いかたちでお客さんの元にお届けする。そういった信念は代々守り継ぎながらも、一方で、政希子さんは移りゆく時代の流れにも、しっかりと心を配っています。

「柿太」ブランドのパンフレット

政希子さんが家業と本格的に向き合い始めた1990年代の終わり頃、「柿太水産」は、市場における価格競争の中、卸売りだけでは経営が成り立たないという問題に直面していました。

そこで政希子さんは、小売業への大きな舵切りを決断。以降、商品開発とパッケージデザイン、そして、柿太ブランドの育成に力を注いでいきました。

外壁のロゴと鰯のアップ

例えば、加工場の外壁にある“イワシの鋳物”や“柿太のロゴマーク”は、2010年ごろに新しく作られたものです。そして、鮮やかな写真の数々で飾られたパンフレットも、東京や大阪などで購買層を広げるのに大きな役割を果たしています。

今までの商売のあり方からぐっと舵を切るのには、相当の勇気と覚悟が必要だったのではないですかと尋ねると、政希子さんは、こんな答えを返してくれました。「足元を大切にする一徹な父と、新しい挑戦を前向きに応援してくれる母に理解してもらっているおかげです。三位一体。一人欠けてもだめなんですね

まさに、家族で営む“家業”。スタッフのおばちゃんたちも含め、関わるみんなの想いと力が重なって、「柿太水産」の“今”が形づくられています。

煮干しでとった出汁を味わう

 

天然自然の“ふるさとの味”。

このように、今でこそ氷見の魚食文化の普及に力を尽くす政希子さんですが、家業に関わる以前は、それほど魚が好きではありませんでした。あまりにも、“ありふれた存在”だったから。

しかし子育てが、“ふるさとの味”を再発見するよい機会を与えてくれました。我が子のために、氷見の煮干しから出汁(だし)を取って作った離乳食の重湯。そのシンプルな味に触れて、今までの認識が一転したと言います。

「ああ、美味しいって、その時、心から思いました」

お水の中に煮干しを2、3匹入れて、翌日、味を整えるだけ。簡単で自然由来の煮干しは、まさに究極の“だしの素”なのです。

商品を封詰めする柿谷さん

こんな美味しい煮干しを、もっとみんなに使ってもらいたい。そんな想いで開発したのが、「まぜいりこ」でした。これは、政希子さんが初めて開発したもので、家業を継いでいく自信を与えてくれた、かけがえのない商品です。

毎年、梅干づくりで必ず出てくる梅酢という副産物に着目し、付属の特製ダレには、地元産にこだわって稲積梅の梅酢が使われています。この爽やかな甘みのある特製ダレは、子どもたちにも大人気で、出汁をとるだけではない “食べる煮干し”の大きな可能性を私たちに示してくれています。

”おさかな体験”で煮干しを説明する柿谷さん

食卓から始まる、氷見だしプロジェクト。

さらに、“本物の食”を氷見の子どもたちに伝える場として、政希子さんは比美乃江小学校の3年生に対して、毎年“おさかな体験”を行っています。

政希子さんは「ここに来た子どもたちに、魚の加工品などを出すと、びっくりするぐらい食べてくれるんです」と、その時の思い出をたどるようにして、嬉しそうに話します。丁寧に加工・調理された新鮮な地元産の魚の美味しさは、子どもたちにもしっかりと伝わっているのですね。

「子どもたちへの食育なのですが、毎回、こちらが教わることばかり」。そして、その体験のときに、子どもたちに贈られた引率の先生の言葉が忘れられないと続けます。

今日、君たちは“食”に対する概念が、がらっと変わったんだよ

それは、子どもたちには難しく響く言葉だったかもしれません。しかしその時、子どもたちの“食の記憶”には、たしかに“ふるさとの味”という種が蒔(ま)かれたのでしょう。

そして今、政希子さんは、新しい夢を抱いています。

そのまま食べて美味しい、お出汁で美味しい、出汁ガラで美味しい。 そのように“三度美味しい煮干し”“氷見の山の幸・椎茸”をベースに、「氷見だし」を開発したい。

ラーメン、イタリアン、和食など、ジャンルを越えた各店でそれぞれに工夫が加えられながら、氷見全体に「氷見だし」が広がっていく。そして、氷見駅を降りたら、出汁の香りが柔らかく出迎えてくれる。

お盆の上に並べた「氷見煮干」

このように夢が広がる「氷見だしプロジェクト」。その一番の応援は、氷見のものを食べることだと、政希子さんは言います。

「氷見のものを使ってもらえる、食べてもらえる。それが一番の励みで、原動力になるんです」

日々、氷見の煮干しで出汁をとり、地元のお魚や産品に親しんでいく。毎日の食卓からできる、そんな “ちいさな応援”を、みんなで積み重ねていきませんか。

(記事中の写真撮影:利波由紀子)

 

 

■「柿太水産」のホームページは こちらより

■「柿太水産」のFacebookページは こちらより

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